怪物は何を考え、何を考えていないのか 「勝ちスイッチ」 著者:井上尚弥

スポーツ、健康

日本が世界に誇るボクサー井上尚弥選手

怪物と言われる王者は、何を考えて、何を考えないのか。

本書では井上尚弥さん自身の辿ってきた道のり、軌跡、そして考え方から
生活スタイル、試合で考えていることが書かれています。
実は私自身も元々ボクシングでプロを少しだけやっていました。
そんな私が個人的に惹かれた部分、参考になったことを感想とともに
紹介していきたいと思います。

僕は天才ではない

井上選手は自分の事を天才ではないと述べている。

井上選手は天才と呼ばれるほどの、センスがないことを昔から自覚していたらしく、
井上選手のトレーナーであり、父親でもある井上慎吾さんはよく
「1万時間の法則」という原理を良く持ち出していたそう。ちなみにこれは
(天才!成功する人々の法則)で紹介した概念。
天才になるにはそれだけの努力が必要で1日8時間練習しても3年以上かかる。

本人の感覚からだと、1万時間で天才になれるなら楽なものだそうです。笑

その8時間の練習の中身がさらに問われ、限界までやったか考えながらやったか
練習のための練習ではなく試合を意識してやったかが重要で、質の高い練習を毎日
1万時間以上、積み重ねて、結果が出たときに始めて、やっと天才の「て」の字が
出てくるもの。

井上選手は、今でも1時間のロードワーク、雨が降ればジムに行き、別メニュー。
ジムワークでは、課題の日々の練習、スパーリングで根気強く一つ一つ解決し、
やっと人に自慢できる技術が備わったそう。

そして、今までできなかったものが、一つできるようになると、それが喜びになり、
次のモチベーションに変わり成長していったそう。
その過程を楽しみながら、やってきて、ようやく1万時間以上の練習が染みついてきた
という実感があると述べている。秀才が努力をしているプロセス。

負けないことより、逃げないこと

挫折は人を強くする。ただし逃げずに立ち向かうことを忘れてはいけない。

井上選手はプロでは無敗だが、アマチュア時代に6敗している。
当時18歳だった井上選手は、当時の覚悟は「何が何でも五輪に行く」ではなく
「いけたらいいなぁ」くらいのもので、自信で負けて当然、行けなくて当然。

アジア予選で敗れた井上選手は、技術よりも、スタミナで切れ、体力負けだった。
その時にやれるのにやらなかった自分に腹が立ち「もっと追い込めただろう」と
自分を問い詰め、父に言われて、やらされる練習では勝てない、

自分から湧き出る主体性を持ち、自分からやらないと本物にはなれない「やらされるのではなくやる」。

敗戦がイコール挫折というものであるとすれば、まずはその敗因をつきとめる。
足りないものは何かを自分に問う。1歩立ち止まって考え、そこから逃げずに結果を
真正面から受け止め、次に進むための手段を考えることが大事。

そうして井上選手は、高校でアマ史上初となる高校7冠を達成した。

人を嫌いにならない方法

井上選手にはひとつ才能があります。

それは人を嫌いにならないという才能らしいです。

モラルを守れない人は、苦手な部類には入るが、基本的にはモラルを守れる人で
あれば、どれだけ変わり者でも仲良くなれるらしいです。
本人は人見知りで、誰かをきらいになり、話もしたくない、という人がいない。

「井上さんみたいに人を嫌いにならないにはどうすればいいのですか?」と
ジムの寮生から、相談を受けるらしく、そこで井上さんは、
「自分を好きになること、自分に自信を持ち、他人と比較しないこと」
述べている。
ただ大切な人には思った気持ちをぶつける。

感想

何事にも、自分からやらなくてはいけない、やらされるのではなく
自分で考え、模索し、失敗してもなぜ失敗したのかつきとめて次に生かす。

当たり前のようなことだがこれをできる人は、本当に少ないと思う、
そして、それを一つの事(ボクシング)に費やしてきたからこそ、
怪物とまで言われる、今の井上選手がいるのだと思った。

最初にも少しお伝えしたが、私自身も少しボクシングでプロとして
試合をして、ボクシングの大変さを身に染みてわかっているつもりだ。
それを、努力であそこまでの規模で試合をして、地位を得て、名誉も手にして、
周りの方からの期待に応える姿は本当に憧れと尊敬でしかない。

少しでもボクシングに興味があったり、井上選手について知りたい方は
是非読んでほしい一冊です。

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